たまには衝動買いすることだってある:『たそがれビール(2015)』小川糸
私の彼・オラウータンは大の車好き。
最新型やスピードが出る車が好きな訳ではなく、ちょっと古くて特徴があるものが好きらしい。
そんな彼に洗車がてらカー用品店に連れて行かれた土曜日の午後。
早く終わればいいな…なんて考えていたら、イマドキのカー用品店ってすごいのね!
カー用品店なのに、TSUTAYAとスターバックスが併設されていました。
しかも…文房具や雑貨なんかも置かれていて、私も店内をうろうろ。
そこでふと目にしたのが、『たそがれビール』というタイトル。
小川糸…という作者名を見て、「あ、『小石川の家』の人だ!」と思ったのですが、それは青木玉さんですね。
見事な勘違い!
日記形式のエッセイで、ちょいと始めの一節を…と読み始める。
今年の目標は「がんばる」。
…(中略)…
無理をしない、というのは、自然の、あるがままの心の欲求を大切にするということ。
たとえば、作りたくない時に無理に料理をしない、とか、そういうこと。
でも、怠惰でいいとか、わがままでいい、ということとはちょっと違う。
無理をしないことも大事だけれど、それと努力をしないことは、同じではない。
どうしたってがんばらなくちゃいけない時は、絶対にある。
地面にしっかり足をつけて、ぐっと踏ん張る。
私の中では、がんばるって、そういうイメージだ。
努力、努力、努力、努力。
今の私の中に、すーっと入ってきた。
この本、買おう。即決。
昨年の12月に突然異動が決まり、ある意味昇進ではあったものの、全く経験のない役職で仕事が始まった2019年。
前任は退職してしまい、チームでの仕事でもないため、いまだに日々戸惑いばかり。
そうこうしているうちに「あれはどうなってる?」「このレポートは?」「次の〇〇のプランは?」と、関係各署からの問い合わせに、本当に毎度神経をすり減らしてきた。
先週の火曜日、体調が優れずも出社し、全く集中できない中、どんどん体調だけが崩れていった。何かがおかしい。
帰宅して熱を測ると38.5度。道理でしんどい訳だ。うーん、これはもしかして…
翌朝、近所のクリニックに行くと、案の定、
「インフルエンザA型です。」
最低5日間は自宅療養するように、とお達しがでた。
家で熱にうなされながらも、考えることは仕事のコトばかり。
精神的には全く休まらない。気になって、仕事用のスマホまで見てしまう。
そんな私を看病するオラウータンに、
「とにかく仕事のことは忘れて。今は休め!ってことなんだから。」
と叱られる始末。そりゃ病人が仕事のコトばっかり気にしたら、怒りたくもなるよね。
ああ、なんでこんなに仕事のコトばかり考えてしまうんだ…
考えて、楽しい訳じゃない、不安なことが増えるだけなのに…
取り越し苦労と、気苦労がばかりが私の心を支配していく…
と、うじうじしていた私の心に、小川糸さんの一節がズシンと響いた。
今は私にとって「どうしたって、がんばらなくちゃいけない時」なんだ!
きっとそうなんだ!
月曜日からの職場復帰に、なんだか力がもらえた、そんな衝動買い。